第1章 1-4 家族はあと何年その家に住むのか?|50代自衛官の家族居住計画
50代になった自衛官へ~これから「家」をどうする?

結論初めに結論
家族全員が同じ家に同じ期間住むとは限りません。50代自衛官が住まいを選ぶ際は、本人の定年退官、転勤、配偶者の生活、子どもの進学・独立を別々の年表にして、「誰が・いつまで・どこに住むか」を確認してから購入を判断してください。
自衛官の住まいは「家族の年表」と「本人の勤務表」が重ならない
住宅を買う動機として「家族の帰る場所をつくりたい」と考えることは自然です。一方、転勤の多い職務では、購入した家に本人が住まない期間や、家族が先に別の地域へ移る期間が生じ得ます。住宅の場所を固定する判断と、本人の勤務地が変わる判断は同一ではありません。
家族の希望をひとまとめにせず、入居予定者ごとに聞き取ることが重要です。現在同居しているか、数年後にも住む予定があるか、退官後に転居を望むかを確認します。家族の意向が一致しない段階で売買契約を急がないようにします。
「家族居住年表」に書くべき五つの情報
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時点(架空例) |
本人(勤務・居住) |
家族(居住予定) |
住宅について検討すること |
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2026年 |
現役・転勤可能性あり |
家族は現住地を継続希望 |
本人不在の期間と管理負担 |
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2029年 |
退官予定を仮定 |
子どもの進学・独立を想定 |
通学・通勤と居住人数の変化 |
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2032年 |
再就職先の立地で変化 |
配偶者の希望を再確認 |
住宅規模・住み替えの余地 |
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2036年 |
高齢期の暮らしを検討 |
世帯構成は未定 |
交通・通院・維持費を点検 |
年表内の出来事と年月は説明用の仮定であり、代表自身や特定のご家族の経験ではありません。ご家庭の実際の予定が未定の場合は「未定」と記入し、複数の可能性を分けてください。
「家を持つ理由」と「住み続ける期間」を別に考える
家族が同じ地域に住み続けることを望むなら、本人が転勤で不在になる場合の維持・管理負担を確認します。反対に、退官後に夫婦で別の地域へ移る可能性があるなら、短期間で売る、貸す、空き家として残す場合の条件まで調べます。住宅ローンの資金使途や転居後の賃貸利用可否は契約内容によって異なるため、貸し出せると決めつけてはいけません。
家族の年齢と購入判断の関係は「30代・40代・50代で家の買い方はどう変わる?」で整理しています。転勤後の選択肢を考える際は「転勤が決まったら持ち家は売却した方がよい?」を参照してください。長期の住居費を比べる場合には「賃貸と住宅購入は20年間でどちらが得?」が参考になります。
家族で確認したい四つの問い
判断を止める条件: 「退官後も同じ地域に住みたいか」「子どもの学校・就職に合わせて引っ越す可能性はあるか」「本人が転勤中の管理者は誰か」「売却や賃貸へ切り替える場合に家族は同意できるか」を、家族ごとに確認してください。
自衛官としての勤務経験から考える
私は陸上自衛官として約36年間勤務し、陸曹長として定年退官しました。勤務年数だけでは、退官後の住まい方の答えは決まりません。住宅の計画でも、現役時代の勤務条件と退官後の生活を分ける必要があります。なお、私自身の家族構成や子どもの年齢を示す事例ではありません。
公的資料から確認できること
防衛省「令和8年版防衛白書:人的基盤強化の取組」は、自衛官の若年定年制等を説明しています。家族居住の年表に記載する本人の退官予定年月は、一般的な説明から推定せず、人事担当に確認してください。
防衛省「退職自衛官に対する再就職支援」では職業訓練や再就職支援施策が案内されています。ただし、再就職先の地域・給与・勤務開始日が全員同一になることを示す資料ではありません。住宅の立地を決める際には、勤務先が未定である期間を別に扱ってください。
2026年給与ワンポイント|世帯収入は家族別に確認
防衛省「令和8年版防衛白書:自衛官の処遇改善」には2025年度以降の処遇改善と2027年度の独自給与体系改定を目指す方針が記載されています。2026年の本人の給与実額は明細で確認し、家族全員の住居計画では本人と配偶者等の収入を分け、退官後の変化を時系列に記入してください。
購入を急がない方がよい条件
判断を止める条件: 家族の居住希望が一致していない、転勤時の管理方法が決まらない、退官後の居住地が未定、数年以内の売却・賃貸利用を想定しながら金融機関へ確認していない場合には、購入条件をいったん見直します。
無料ワークシート|家族の居住期間を可視化
「50代自衛官のための住まいを考えるワークシート」(PDF)の「03 家族居住年表」を活用し、家族ごとに希望と未定事項を書き込んでください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 自衛官が転勤しても家族だけ住み続ける家を買えますか?
A.選択肢にはなります。本人の別居生活費、家族の居住希望、持ち家の管理・維持費が両立するかを確認してください。
Q2. 子どもが数年で独立するなら家を買わない方がよいですか?
A.独立予定だけで一律には決められません。独立後の世帯人数に対して間取り・立地・維持費が適切か、売却や住み替えの選択肢が残るかを検討します。
Q3. 本人が住まない家を住宅ローンで購入・保有してもよいですか?
A.申込本人や親族の居住条件、転勤時の届出、第三者賃貸の可否は商品・契約で異なります。融資金融機関へ事前に確認してください。【フラット35】の資金使途も参考資料になります。
Q4. 夫婦の希望が一致しない時はどう進めますか?
A.希望の違いを年表に書き分け、譲れない条件と期限を整理します。購入契約の前に「誰がどこで暮らすか」を決めることを優先します。
Q5. 定年後の再就職先が分からなくても家族の年表は作れますか?
A.作成できます。「就職先未定」を明示し、現在の家に住む案、転居案、二拠点案の複数の行を用意して比較します。
出典・情報確認日
情報確認日:2026年10月10日。法令・制度・金融商品・記事リンクは公開時にも最新情報を再確認してください。本文内の金額例はすべて明示した架空条件による試算です。
※ 本稿は個別の融資承認、投資成果、再就職先の決定を保証するものではありません。融資条件は申込金融機関、制度適用や本人の勤務条件は各担当窓口へご確認ください。
執筆/監修 株式会社陸自不動産 小松野美貴哉