⑧ 新築ワンルームマンション投資|「ローンが減るから資産になる」は本当か?
新築ワンルームマンション投資|陸自不動産はなぜ警鐘を鳴らすのか

新築ワンルームマンション投資|「ローンが減るから資産になる」は本当か?
自衛官投資家諸元(新築ワンルームマンション投資への警告)
「買える」は能力ではない。「判断できる」が投資家の能力だ。
「毎月の持ち出しがあっても、ローンが減るので資産形成になります」。新築ワンルームマンションの営業で、そんな説明を受けた自衛官の方もいらっしゃるでしょう。返済によって借入元本が減ることは、負債を減らす効果があります。しかし、残債の減少額だけを見ても、家計全体で財産が増えたかどうかは分かりません。保有中に物件の市場評価が変わり、給与から補填を続けていれば、預金の減少も確認する必要があります。退官後の生活や将来の住宅購入を考える際には、返済予定表だけでは判断材料が不足します。本記事では、市場価格と残債の差、累積持ち出し、売却費用を順に整理します。ローン返済の進み具合と、投資の成果を分けて確認するための記事です。
始めに結論
ローン元本が減る点だけでは投資成果を判断できません。現在の市場価格と残債から物件の純資産を確認し、累積持ち出し、税金、修繕費、売却費用を含めて、投資全体の収支を検証します。
ローン残高だけではなく純資産を見る
基本の確認式は「現在の市場価格-現在のローン残高」です。
本記事では、その差額を「物件の純資産」と呼びます。会計上の帳簿価額ではなく、現在の市場評価を使った簡易的な確認方法です。
| 確認する数字 | 意味 |
|---|---|
| 市場価格 | 現時点で売却できると見込む価格 |
| ローン残高 | 現時点で返済が残っている元金 |
| 物件の純資産 | 市場価格からローン残高を引いた差額 |
| 売却時の手取見込額 | 市場価格から残債と売却・返済費用を引いた金額 |
物件自体は購入時から資産であり、借入れは負債です。「返済すれば資産になる」という説明では、資産と負債の差がどの程度残るのかが省略されています。
ローン残高だけではなく純資産を見る。
陸自不動産が重視するのは、返済額の大きさではなく、資産と負債を並べた状態です。
残債の減少と市場価格の変化を比較する
残債が減っても、市場価格の変化によって純資産は増減します。
以下は、二つの時点を比較する説明用の仮定例です。実際の値下がり率や返済速度を示すものではありません。
| 項目 | 確認時点A | 確認時点B |
|---|---|---|
| 市場価格 | 2,800万円 | 2,400万円 |
| ローン残高 | 3,000万円 | 2,700万円 |
| 物件の純資産 | マイナス200万円 | マイナス300万円 |
ローン残高は300万円減っています。しかし、市場価格が400万円下がる仮定では、純資産は100万円悪化します。
一方、市場価格が変わらなければ、残債が減った分だけ物件の純資産は改善します。価格が上昇する場合もありますが、将来の上昇を確定条件にはできません。
確認するのは、残債がいくら減ったかと、同じ期間に市場評価がどう変わったかです。
給与からの持ち出しも投資成果に含める
物件の純資産が増えても、そのために家計から出した金額を確認する必要があります。
給与や預金から追加資金を入れれば、返済を進められる場合があります。しかし、物件の負債だけが減り、手元の現金も減っているなら、返済額をそのまま利益とは扱えません。
投資全体の確認では、次の三つを分けます。
-
購入時に投入した自己資金
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保有中の通算キャッシュフロー
-
売却後に残る現金、または精算に必要な不足資金
保有中の通算キャッシュフローは、家賃収入からローン返済、管理費、修繕積立金、税金、保険、修繕費等の支出を引き、各年分を合算します。
すでに年間収支に含めた税金や修繕費を、累積持ち出しへ再度加えないよう注意してください。
売却後に現金が残っても、利益とは限らない
売却時の手取額と、投資全体の利益は別です。
次は前の表とは別の、説明用の仮定例です。
| 項目 | 仮定の金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 2,600万円 |
| 売却時のローン残高 | 2,300万円 |
| 売却・返済費用 | 100万円 |
| 売却時の手取額 | 200万円 |
| 購入時の投入自己資金 | 150万円 |
| 保有中の通算持ち出し | 120万円 |
売却時には200万円が残ります。しかし、購入時に150万円、保有中に120万円を出していれば、差引きは次のとおりです。
200万円-150万円-120万円=マイナス70万円
所得税・住民税等への影響と、お金を投じた期間の違いを除いた簡易計算です。税務上の譲渡所得とは異なります。
元金返済は保有中の現金支出と売却時の残債に反映されています。残債が減った額を、さらに利益として加えると二重計上になります。
現在の確認と将来の試算を分ける
残高資料で確認できる数字と、仮定を置いた将来の数字を混ぜないことが重要です。
現在の残債は金融機関の残高資料で確認します。市場価格は、同一マンションや周辺類似物件の事例、第三者査定から価格帯を検討します。取引価格等の調査には、国土交通省「不動産情報ライブラリ」も利用できます。
将来の残債は返済予定表を基にしますが、変動金利や繰上返済などで変わる場合があります。将来価格も、維持・下落・上昇など条件を分けて試算してください。
完済後も管理費、修繕積立金、税金、保険、設備交換等の負担は残ります。「返済が終われば家賃が全額利益になる」という計算は避けます。
自衛官投資家諸元
ローン残高の減少だけでなく、現在の市場価格と残債から純資産の状態を説明できるか。
確認する資料は、次のとおりです。
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現在のローン残高と返済予定表
-
査定資料と比較事例
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購入時に使った自己資金の記録
-
家賃入金、税金、修繕等を含む年間収支
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売却・返済費用の見積り
購入済みの方は、過去の投資成果を検証したうえで、今後の保有負担と売却条件を比較します。過去に支払った金額を取り戻したいという理由だけで、保有継続を決めない姿勢も必要です。
よくある質問
Q.ローン元本が減っていれば投資は順調ですか?
A.元本の減少だけでは判断できません。市場価格の変化と累積持ち出しを併せて確認し、家計全体で財産が増えているか検証します。
Q.純資産はどのように確認しますか?
A.本記事では「現在の市場価格-現在のローン残高」で物件の純資産を確認します。売却時の手取額を見る場合は、売却・返済費用も差し引きます。
Q.市場価格が下がってもローンが減れば問題ありませんか?
A.価格の下落額と残債の減少額によります。残債が減る以上に市場価格が下がれば、物件の純資産は悪化します。
Q.累積持ち出しは純資産の判断に含めますか?
A.物件単体の純資産とは分けて把握し、投資成果を判断する際に含めます。家計全体を見る場合は、持ち出しによる預金の減少を重複して差し引かないよう注意します。
Q.売却費用まで考える必要がありますか?
A.必要です。市場価格と残債の差額が、そのまま手元に残るとは限りません。仲介手数料、登記費用、繰上返済手数料等を個別に確認してください。
関連記事
第5テーマの「市場価格と残債」、第6テーマの「累積持ち出し」、第7テーマの「収益指標」を踏まえ、今回は純資産と投資成果を整理しました。
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陸自不動産の問題意識を紹介した記事です。過去の数値例を、現在の相場や全物件に当てはめるものではありません。
著者
小松野美貴哉|株式会社陸自不動産 代表取締役
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受講料は98,000円(税込)。
免責・出典
本記事は、純資産と投資収支の見方を整理した陸自不動産の見解です。数値は説明用の仮定例であり、価格変動や返済速度を予測するものではありません。
物件の純資産は、市場評価を用いた簡易的な確認値です。会計上の純資産や税務上の所得とは区別してください。査定価格は成約価格を保証せず、個別の融資・税務等は金融機関や各専門家への確認が必要です。
価格情報の調査先:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
講座情報:コエテコカレッジ公式ページ
情報確認日:2026年9月5日。
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