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⑥ 新築ワンルームマンション投資|「月1万円の赤字なら大丈夫」は本当か?

新築ワンルームマンション投資|陸自不動産はなぜ警鐘を鳴らすのか

新築ワンルームマンション投資|「月1万円の赤字なら大丈夫」は本当か?

自衛官投資家諸元(新築ワンルームマンション投資への警告)
「買える」は能力ではない。「判断できる」が投資家の能力だ。

「毎月1万円の負担でマンションを持てます」。新築ワンルームマンションの営業で、そんな説明を受けた自衛官の方もいらっしゃるでしょう。給与から支払える金額なら、無理のない資産形成に見えるかもしれません。しかし、月1万円という数字に何が含まれているかによって、実際の負担は変わります。固定資産税、保険、退去時の修繕などが別なら、年間の持ち出しは月額表示だけでは把握できません。また、毎月の負担が小さくても、売却時に多額の不足資金が必要になる場合があります。本記事では、月額表示を年間収支と累積持ち出しへ置き換え、資産価値とローン残高も併せて確認する方法を整理します。購入前にも保有中にも、数字の中身を確認するための基本です。

 

始めに結論

月額の持ち出しだけでは投資の良否を判断できません。年間キャッシュフロー、累積持ち出し、市場価格、ローン残高に加え、修繕、税金、空室などの負担を同時に確認する必要があります。

 

「月1万円」に含まれる支出を確認する

最初に確認するのは、赤字の金額ではなく、計算に含まれる項目です。

家賃とローン返済額だけを比較した数字なのか、管理費や修繕積立金まで差し引いた数字なのか。さらに、年払いの税金や不定期の修繕費が含まれているかを確認します。

確認項目 見落としやすい点
ローン返済 諸費用ローンなど、別契約の返済がないか
管理費・修繕積立金 賃貸管理料と区別されているか
税金・保険 月次収支表とは別扱いになっていないか
空室 家賃が入らない期間を想定しているか
原状回復・設備交換 所有者負担の支出が計上されているか
募集関係費用 入居者募集時の費用が含まれているか

営業資料に項目がない場合は、負担がないと判断せず、契約書や費用明細と照合してください。

 

年間キャッシュフローを自分で計算する

キャッシュフローとは、実際に入った現金と出ていった現金の差です。

本記事では、所得税・住民税等への影響を別計算とし、保有中の基本式を次のように整理します。

年間キャッシュフロー=実際の年間賃貸収入-年間ローン返済額-年間の運営支出

運営支出には、管理費、修繕積立金、賃貸管理料、固定資産税、保険料、修繕・原状回復費用などを含めます。

入金額がすでに管理料控除後なら、同じ管理料を再度引かないよう注意します。空室も、実際の収入減として反映済みなら、同じ損失を重複して差し引きません。

なお、税務上の不動産所得は「総収入金額-必要経費」で計算します。現金収支とは計算目的が異なるため、確定申告上の赤字と預金の減少額を同じものとして扱わないでください。国税庁「不動産収入を受け取ったとき」

 

月1万円を年間・累積で見直す

月額が小さく見えても、負担する期間と別払いの費用を加えると、判断材料が変わります。

以下は説明用の仮定例です。

営業資料の月1万円の持ち出しに、固定資産税・保険料・退去時費用が含まれていないと仮定します。

項目 仮定の年間負担
月1万円の持ち出し×12か月 12万円
別払いの固定資産税 10万円
別払いの保険料 2万円
その年に発生した所有者負担の原状回復費 8万円
合計持ち出し 32万円

年間32万円は、月平均では約2万6,700円です。空室による収入減や、ほかの臨時支出は含めていません。金額や費用の発生頻度を一般化する例ではありません。

一方、すべての支出を含めて本当に月1万円の赤字が続くという説明用の仮定なら、累積持ち出しは次のとおりです。

  • 1年間:12万円

  • 10年間:120万円

  • 20年間:240万円

将来も同額が続くという予測ではありません。実際には各年の収支を集計し、購入時の自己資金や売却時の精算も別に整理します。

 

毎月の収支と、資産・負債の状態を分ける

現金の出入りが小さくても、売却時の負担が小さいとは限りません。

確認には二つの視点が必要です。

視点 確認する内容
CF:現金収支 保有中に、現金がいくら増減するか
BS:資産・負債 現在の市場価値に対し、残債がいくらあるか

BSは、ここでは市場価値と負債を比較する簡易的な見方です。

例えば、月1万円の持ち出しとは別に、売却想定価格が残債を500万円下回る場合があります。説明用の仮定例ですが、月々支払えることだけでは、売却時の不足資金へ対応できるか分かりません。

反対に、元金返済が進んでいる場合もあります。ただし、返済で残債が減った金額を、そのまま投資利益と考えることはできません。市場価格の変化や累積持ち出しも含めて評価します。

 

少額赤字を一律に失敗とは判断しない

赤字の理由、保有目的、残債推移、資産価値、家計の余力を確認します。

一時的な修繕で赤字になった年と、通常の家賃では毎年の支出を賄えない物件では、判断が異なります。

毎月の収入を増やす目的なら、恒常的な持ち出しは目的との不一致です。一方、長期の資産形成を目的としていても、「いつか値上がりする」という期待だけで赤字を正当化することはできません。

購入前は、家賃減額・空室・修繕・金利上昇を仮定した収支も比較します。保有中は、年間負担の上限と見直す時期を決め、保有継続と売却の負担を並べてください。

 

自衛官投資家諸元

年間キャッシュフローを自分で計算し、赤字の理由と累積持ち出しを説明できるか。

確認資料は、入金明細、返済予定表、管理費等の請求書、納税通知書、保険・修繕の支払記録です。

  • 月次収支表にない年払い・臨時支出を加える。

  • 過去の実績と将来の仮定を分ける。

  • 各年の持ち出しと黒字額を記録する。

  • 現在の売却想定価格、残債、売却費用を並べる。

  • 不明な費用や家賃設定の根拠を確認する。

給与から補填できることと、投資として納得できることを分けて判断します。

 

 

 

よくある質問

Q.毎月の持ち出しが少額なら問題ありませんか?

A.少額という理由だけでは判断できません。含まれる費用、年間負担、保有期間、売却時の不足資金を確認してください。

 

Q.年間キャッシュフローは何を差し引いて計算しますか?

A.実際の賃貸収入から、ローン返済と管理費、修繕積立金、税金、保険、修繕等の支出を引きます。費用の二重計上に注意し、所得税等への影響は別に確認します。

 

Q.毎月の収支以外に何を確認すべきですか?

A.市場価値、ローン残高、売却費用、今後の修繕、家計の予備資金です。保有中の収支と売却時の精算を併せて検討します。

 

Q.累積持ち出しはどのように確認しますか?

A.各年の赤字額を積み上げます。黒字の年があれば別に記録し、差し引いた保有中の通算収支も確認してください。購入・売却時の資金は分けて整理します。

 

Q.営業担当者の説明と自分の計算が違う場合はどうしますか?

A.項目、対象期間、家賃、空室、税金などの前提を照合します。差額の理由を資料や書面で説明してもらい、不明点が残る段階では契約を急がないでください。

 

関連記事

第5テーマで整理した「市場価値と残債」に、今回は「年間収支と累積持ち出し」を加えました。公開済みの記事もご参照ください。

 

 

著者

小松野美貴哉|株式会社陸自不動産 代表取締役

陸上自衛隊勤務36年の経験と不動産実務の視点から、自衛官・公務員が営業説明だけに依存せず、価格、融資、収支、リスク、出口戦略を自ら判断するための情報を発信しています。

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免責・出典

本記事は、投資の現金収支と資産・負債の見方を整理した陸自不動産の見解です。数値は説明用の仮定例であり、実際の費用水準や将来の収支を示すものではありません。査定価格は成約価格を保証しません。

税務上の所得計算は、国税庁「不動産収入を受け取ったとき」を参照しています。経費算入や税額への影響は個別条件により異なるため、税理士等へご確認ください。

情報確認日:2026年9月5日。

 

 

 

 

 

 

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