⑧ 付帯設備表と物件状況報告書が違う場合は?|契約前に現況と告知を照合
購入申込み・重要事項説明・売買契約で止まれる境界線

付帯設備表と物件状況報告書が違う場合は?|契約前に現況と告知を照合
中古住宅の購入では、「給湯器は使えると書いてあるのに動かない」「物件状況報告書には雨漏りなしと記載されているのに天井にシミがある」など、書面と現地の状態が一致しない場合があります。付帯設備表、物件状況報告書、重要事項説明書、売買契約書は、それぞれ役割が異なります。書類同士や現況に食い違いがあった場合、どれか一つを機械的に優先するのではなく、売主・媒介会社へ確認し、正しい現況と引渡条件を契約前に確定させることが重要です。本章では、大村市で中古住宅を購入する方へ、書面と現地を照合し、契約前に止まるべき場面を整理します。
Q.付帯設備表と物件状況報告書に食い違いがあったらどうしますか?
結論
付帯設備表、物件状況報告書、現地の状態に食い違いがある場合は、そのまま契約へ進まず、売主・媒介会社へ事実確認を求めます。記載ミス、更新漏れ、修理、撤去など原因を確認し、契約時点の正しい現況と引渡条件を売買契約書や特約等へ反映してから判断することが重要です。
1.まず「付帯設備表」と「物件状況報告書」の役割を分ける
中古住宅では、複数の書類から物件状態を確認します。
付帯設備表
一般的には、住宅に付属する設備について、
・設備があるか
・故障しているか
・使用できる状態か
・引渡し対象になるか
などを確認するために使用されます。
対象となる設備には、
・給湯器
・キッチン設備
・浴室設備
・トイレ
・エアコン
・照明器具
・インターホン
・門扉や外構設備
などが含まれる場合があります。
ただし、実際に使用する書式や対象設備は取引ごとに異なります。
物件状況報告書・告知書
土地や建物について売主が把握している事項を買主へ伝えるために使用されます。
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、土地・建物の過去の履歴や性状など、売主や所有者しか分からない事項について、売主等の協力が得られる場合には告知書を提出してもらい、買主へ渡すことが将来の紛争防止に役立つとしています。
告知事項の例として、境界、土壌汚染、増改築・修繕履歴、建物の傾き、腐食などが挙げられています。また、告知書は売主等の責任の下で作成された書面であることを明らかにするよう示されています。
つまり、
付帯設備表は主として設備の状態
物件状況報告書は主として土地・建物の履歴や状態
を確認する役割として整理すると分かりやすくなります。
2.書類だけではなく現地と照合する
書面に「故障なし」と書かれていても、現地確認時に設備が正常に動かない場合があります。
反対に、物件状況報告書へ過去の不具合が記載されていても、その後すでに修理されている場合もあります。
中古住宅では、書類を読んだ後に現地と照合します。
確認したい項目として、
・給湯設備
・水回り設備
・換気設備
・エアコン等の残置設備
・雨漏り跡
・天井や壁のシミ
・建具の状態
・外構設備
・倉庫
・境界付近
・残置物
などがあります。
設備を実際に動かせる場合は動作確認を行います。
ただし、床下、屋根内部、構造部分など、目視だけでは判断できない部分を買主が自己判断してはいけません。
専門的な確認が必要な場合は、建築士や専門業者による調査へ分けて考えます。
3.食い違いを発見したら「理由」を確認する
書面と現況が違う場合、すぐに、
「売主が隠していた」
「不動産会社が虚偽説明をした」
と断定することも適切ではありません。
原因として、
・単純な記載ミス
・書類作成後の故障
・修理後に書類が更新されていない
・設備を撤去した
・売主の認識違い
・確認時点の違い
などが考えられます。
重要なのは原因を推測することではなく、売主へ確認して事実を特定することです。
媒介会社へ、
「付帯設備表では給湯器が『故障なし』となっていますが、現地では動作を確認できませんでした。現在の状態を売主へ確認してください」
というように、食い違っている箇所を具体的に伝えます。
可能であれば写真やメモも残します。
4.どの書類が「絶対に優先」と決めつけない
付帯設備表と物件状況報告書で内容が違う場合、
「物件状況報告書の方が重要だから、そちらが優先」
「契約書が一番上だから他の資料は無視してよい」
と単純に順位付けすることは避ける必要があります。
各書類には異なる役割があります。
付帯設備表
設備の有無や状態を確認する資料。
物件状況報告書・告知書
売主が把握する土地・建物の履歴や状態を確認する資料。
重要事項説明書
宅地建物取引業法に基づき、対象物件や取引条件の重要事項を確認する書面。
売買契約書・特約
売主と買主が合意した売買条件を定める書面。
現地確認
契約前または引渡し前の実際の状態を確認する行為。
国土交通省も、既存住宅について、取引時点の現況を買主が十分理解して意思決定できるよう情報提供することを重視しています。建物状況調査が行われている場合も、取引判断に重要な調査結果を適切に説明する考え方が示されています。(国土交通省)
複数資料に矛盾があるなら、契約前に矛盾を解消することが先です。
5.契約条件として何を確定させるか
食い違いの原因が確認できたら、次に引渡条件を決めます。
たとえば設備が故障していた場合には、
・売主が引渡しまでに修理する
・売主が交換する
・故障した状態のまま引き渡す
・対象設備を撤去して引き渡す
・売買価格等の条件を改めて協議する
など、複数の対応が考えられます。
どの対応になるかは売主と買主の合意次第です。
重要なのは、
「直しておきます」
「たぶん使えると思います」
という口頭説明だけで契約を完了させないことです。
合意した内容は、取引内容に応じて付帯設備表の訂正、物件状況報告書の訂正、売買契約書、特約など適切な書面へ反映します。
6.訂正内容は買主も確認する
書類に訂正が必要となった場合、媒介会社が書類を書き換えただけで終わらせず、買主自身も訂正後の内容を確認します。
確認したいのは、
訂正前
何と書かれていたのか。
訂正後
何が正しい内容になったのか。
訂正理由
故障、撤去、記載ミス、修理済みなど、どの理由で訂正されたのか。
引渡条件
修理するのか、現状のままなのか。
契約書との整合
売買契約書や特約と矛盾していないか。
訂正方法の法的有効性について問題がある場合は、「二重線を引けば必ず有効」と一般化せず、使用する書類・電子契約・当事者確認の方法に応じて媒介会社へ確認します。
7.大村市の中古戸建では屋外設備も確認する
大村市の中古戸建を購入する場合も、対象物件によって設備条件は異なります。
たとえば、
・浄化槽
・井戸
・倉庫
・物置
・カーポート
・フェンス
・門扉
・庭の設備
などが存在する住宅があります。
ただし、
「大村市の中古住宅なら浄化槽がある」
「郊外物件なら井戸を使う」
と地域全体で一般化してはいけません。
対象物件ごとに、
・設備が売買対象へ含まれるのか
・使用できる状態なのか
・維持管理は必要か
・所有権や撤去条件はどうなっているか
・引渡し後に買主が負担する費用はあるか
を確認します。
地域特性よりも、対象物件の現況と書面を基準に判断することが重要です。
8.建物状況調査があっても書類照合は必要
中古住宅では、建物状況調査、いわゆるインスペクションが行われている場合があります。
しかし、建物状況調査が行われていても、付帯設備表や物件状況報告書を確認しなくてよいわけではありません。
国土交通省は、建物状況調査について、既存住宅の取引判断に役立つ制度として位置付けています。一方で、建物状況調査は瑕疵の有無を判定したり、瑕疵が存在しないことを保証したりする制度ではないことも明示しています。(国土交通省)
つまり、
建物状況調査
売主からの告知
設備状態
重要事項説明
契約条件
は、それぞれ別に確認します。
9.決済・引渡し前にも再度確認する
契約時に状態を確認していても、引渡しまで一定期間が空く場合があります。
その間に、
・設備が故障する
・物を撤去する
・残置物が増える
・修理予定箇所が未修理のまま残る
など、状態が変化する可能性があります。
そのため、決済・引渡し前に最終確認を行う場合は、契約時の合意内容と現況を再び照合します。
たとえば、
「売主が交換すると特約に書かれている給湯器は交換済みか」
「撤去予定だった残置物はなくなっているか」
「引渡対象とされた設備が残っているか」
を確認します。
契約前だけでなく、引渡し直前にも書面と現況を照合する意識が必要です。
10.食い違い発見時の確認手順
書面と現況が違う場合は、次の順序で整理します。
第1段階 食い違いを特定する
どの書類の、どの項目が、現況と違うのかを明確にします。
第2段階 記録する
写真、動画、メモなどで確認した状態を残します。
第3段階 媒介会社へ伝える
売主への確認を依頼します。
第4段階 売主確認を行う
記載ミス、故障、撤去、修理済みなど事実関係を確認します。
第5段階 引渡条件を決める
修理、交換、撤去、現況のままの引渡しなど、双方で条件を整理します。
第6段階 書面へ反映する
訂正後の付帯設備表、物件状況報告書、売買契約書、特約等へ正しい内容を反映します。
第7段階 引渡し前に再確認する
契約時の合意と最終的な現況を照合します。
11.「進む・立ち止まる・専門家確認」を分ける
契約へ進みやすい状態
・付帯設備表を確認した
・物件状況報告書を確認した
・現地と書類を照合した
・食い違いの理由を確認した
・売主確認が終わっている
・正しい内容が書面へ反映されている
・引渡条件を理解している
契約内容と現況を買主自身が把握できている状態です。
一度立ち止まった方がよい状態
・付帯設備表と現況が違う
・物件状況報告書と現地に食い違いがある
・売主確認が行われていない
・「口頭で大丈夫」としか説明されていない
・修理するのか現状のままなのか決まっていない
・契約書と告知内容が一致していない
・訂正前の書類しか受け取っていない
契約を急がず、事実確認と書面修正を先に行います。
専門家へ個別確認した方がよい状態
・雨漏りや構造上の問題が疑われる
・境界に争いがある
・売主が把握していた不具合を告知していない可能性がある
・契約後に重大な食い違いが発覚した
・契約不適合責任の適用が問題になっている
・契約解除、損害賠償、決済停止等を検討している
法律判断は弁護士、建物は建築士等、境界は土地家屋調査士、登記は司法書士、融資は金融機関など、問題に応じた専門家へ確認してください。
本章のまとめ
・付帯設備表と物件状況報告書は役割を分けて確認します。
・書面と現況に食い違いがあれば、契約前に売主確認を行います。
・どの書類が常に優先するかを決めつけず、正しい現況と引渡条件を確定します。
・修理・交換・撤去・現況引渡しなど合意した内容は口頭だけで終わらせず書面へ反映します。
・契約時だけでなく、決済・引渡し前にも現況を再確認します。
買主向けチェックリスト
□ 付帯設備表を確認しましたか?
□ 物件状況報告書・告知書を確認しましたか?
□ 現地と書類を照合しましたか?
□ 故障設備の有無を確認しましたか?
□ 雨漏り跡など気になる箇所を確認しましたか?
□ 食い違いを写真・メモで残しましたか?
□ 売主へ事実確認を依頼しましたか?
□ 訂正後の書類を確認しましたか?
□ 修理・撤去・引渡条件が書面化されていますか?
□ 引渡し前の最終確認を予定していますか?
Q&A
Q.付帯設備表に「故障なし」と書かれていた設備が壊れていたらどうしますか?
契約前なら、まず動作状況を確認し、媒介会社を通じて売主へ事実確認を求めます。修理、交換、現状引渡しなどの扱いを決め、合意した条件を書面へ反映してから契約判断を行います。
Q.物件状況報告書は売主が作成するのですか?
一般に、売主が知っている土地・建物の履歴や状態を告知する目的で作成されます。国土交通省も、告知書は売主等が知り得る範囲で記載し、売主等の責任の下に作成された書面であることを明らかにする考え方を示しています。
Q.書類の訂正は二重線だけで十分ですか?
一律には判断できません。使用する書式、紙契約か電子契約か、訂正箇所の性質などによって確認方法が異なります。重要なのは、売主・買主双方が訂正後の内容を確認し、最終的な契約条件が明確になっていることです。
Q.現況と契約書が違う場合はどの書類が優先しますか?
機械的に一つの書類を優先すると判断しない方が安全です。契約内容、特約、告知内容、現況、当事者間の合意経過によって法的評価が異なる場合があります。契約前なら不一致を解消して書面を修正し、契約後の争いであれば必要に応じて弁護士へ確認してください。
参考資料・公的機関
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
売主しか分からない土地・建物の過去の履歴や性状について、告知書による情報提供を積極的に行うことが望ましいとの考え方を確認しました。告知書について、売主等が知り得る範囲で記載し、売主等の責任の下で作成された書面であることを明らかにする取扱いも示されています。
確認日:2026年9月2日。
国土交通省「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について」を確認
国土交通省「既存住宅流通について|建物状況調査」
既存住宅の建物状況調査に関する制度と、調査結果の重要事項説明、調査の限界などを確認しました。建物状況調査は瑕疵の有無を判定したり、瑕疵がないことを保証したりする制度ではない点も示されています。
確認日:2026年9月2日。(国土交通省)
国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用に向けて」を確認
国土交通省「既存住宅取引における情報提供」
国土交通省は、既存住宅取引において建物状況調査の結果を重要事項として説明し、売買契約成立時には建物の状況について当事者双方が確認した事項を書面へ記載する制度を設けています。
確認日:2026年9月2日。(国土交通省)
大村市で中古住宅の購入を検討している方へ
株式会社陸自不動産では、大村市周辺の中古住宅、新築住宅、土地について、物件調査、購入申込み条件の整理、重要事項説明、売買契約に関する宅地建物取引業務、付帯設備表・物件状況報告書・告知書の確認、売主側との条件調整、引渡し前確認などを行っています。
中古住宅では、設備があるかどうかだけではなく、「使えるのか」「故障しているのか」「誰が修理するのか」「引渡しまで残るのか」まで確認することが重要です。
陸自不動産では、書類と現況に不一致がある状態で契約を急ぐのではなく、売主確認を行い、買主が引渡条件を理解した状態で判断できることを重視しています。
契約の法的有効性、解除、損害賠償、契約不適合責任等の法律判断は弁護士、建物状態は建築士等、境界は土地家屋調査士、登記は司法書士、税務は税理士、融資承認は金融機関など、各専門分野で個別確認が必要です。
著者紹介
小松野美貴哉
株式会社陸自不動産代表取締役。陸上自衛隊勤務36年を経て不動産業界へ転身し、住宅購入・売却、住宅ローン、相続、離婚、転勤など、不動産に関する問題へ実務家として対応しています。
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