menu

〒856-0805 長崎県大村市竹松本町840番地9号2F

⑦ 契約不適合責任の期間と範囲は?|売主属性・特約・通知期限を契約前に確認

購入申込み・重要事項説明・売買契約で止まれる境界線

契約不適合責任の期間と範囲は?|売主属性・特約・通知期限を契約前に確認

中古住宅を購入するとき、「引渡し後に雨漏りが見つかったら売主が直してくれる」「契約不適合責任があるから中古住宅でも安心」と理解していると、契約後に認識の違いが生じる場合があります。契約不適合責任は、発見された不具合を無条件ですべて補償する制度ではありません。何が「契約内容に適合していない状態」なのか、売主が個人か宅地建物取引業者か、契約書にどのような特約・通知期限・免責条項があるかによって判断が変わります。大村市で中古住宅を購入する方へ、契約前に確認すべき責任範囲と期間を整理します。

 

Q.契約不適合責任の期間と範囲をどう読みますか?

結論

契約不適合責任は「中古住宅なら何でも補償される」という制度ではありません。民法上の原則に加え、売主が個人か宅地建物取引業者か、契約書の特約、対象となる不適合、通知期限などを確認する必要があります。免責・責任期間・補修方法を契約前に読み、一般論だけで判断しないことが重要です。

 

1.契約不適合責任とは何か

契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約内容に適合していない場合に問題となる売主側の責任です。

2020年4月施行の改正民法によって、従来の「瑕疵担保責任」という考え方から、「契約内容に適合しているか」という考え方へ整理されました。

民法第562条では、目的物が契約内容に適合していない場合、買主は修補などの履行の追完を請求できることが定められています。一定の要件の下では、代金減額、損害賠償、契約解除が問題になる場合もあります。(キャッシュレス・消費者還元事業)

ただし、

不具合がある=必ず売主が修理する

という意味ではありません。

最初に確認するべきなのは、

「売買契約上、どのような状態の住宅を引き渡す契約だったのか」

という点です。

 

2.「古い」「壊れた」だけでは契約不適合とは決まらない

中古住宅には、築年数に応じた経年劣化が存在します。

たとえば設備が古い、外壁に経年劣化がある、内装に使用感があるというだけで、直ちに契約不適合責任が発生するとは判断できません。

契約前に、

・売買契約書
・重要事項説明書
・物件状況報告書
・告知書
・付帯設備表
・修繕履歴
・建物状況調査結果

などを確認し、売主と買主がどの状態を前提として契約したのかを整理します。

たとえば、ある設備について契約前から故障が明示され、「故障した状態で引き渡す」と双方が合意していれば、契約後に同じ故障を理由として契約不適合責任を追及できるかは、その契約内容を踏まえて判断する必要があります。

重要なのは、

物件の状態そのものだけでなく、契約内容との比較です。

 

3.買主が知った後の「1年」は何を意味するのか

民法第566条では、種類または品質に関する契約不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へその旨を通知しなかった場合、原則として一定の権利を行使できなくなる仕組みが定められています。

法務省も、改正民法について「契約に適合しないことを知ってから1年以内に通知が必要」と説明しています。(法務省)

ここで特に注意したいのは、

「引渡しから1年間だけ売主が責任を負う」という意味ではない

という点です。

民法第566条の1年は、原則として買主が不適合を知った時から売主へ通知する期間に関する規定です。別途、消滅時効等の規律も関係します。(法務省)

したがって、

「民法では契約不適合責任は1年間です」

という説明だけでは不十分です。

 

4.売主が個人か宅地建物取引業者かで確認方法が変わる

契約不適合責任を読む際には、売主属性を確認します。

個人が売主の場合

個人間の不動産売買では、民法上の原則を前提としながら、契約によって責任期間を限定したり、契約不適合責任を負わない旨の特約が定められたりする場合があります。

中古住宅では、

「契約不適合責任を負わない」

「一定の項目について一定期間のみ責任を負う」

などの特約が置かれることがあります。

ただし、免責特約があれば何でも免責されるわけではありません。

民法第572条では、売主が知りながら買主へ告げなかった事実については、担保責任を負わない旨の特約をしていても責任を免れることができない旨が定められています。(法務省)

宅地建物取引業者が売主の場合

不動産会社などの宅地建物取引業者が自ら売主となり、一般の買主へ販売する場合には宅地建物取引業法第40条による規制があります。

同条では、民法第566条に関する期間について引渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利となる特約をしてはならず、違反する特約は無効とされています。(キャッシュレス・消費者還元事業)

したがって、

個人売主の中古住宅

宅地建物取引業者が自ら売主となる中古住宅

を同じ契約条件として扱うことはできません。

 

5.「不動産会社なら2年間だけ責任を負う」とも限らない

宅地建物取引業法第40条について、

「不動産会社が売主なら契約不適合責任は必ず2年間」

と理解するのも正確ではありません。

法律が定めているのは、宅地建物取引業者が買主に不利な特約を設定する場合の制限です。

国土交通省資料でも、既存住宅売買で事業者が売主の場合、引渡しから2年以上の責任期間が示される一方、民法上の原則と契約上の期間を区別して整理しています。(国土交通省)

契約書によって2年より長い期間が設定される場合も考えられます。

買主は、

「法律では何年か」だけではなく「自分が締結する売買契約では何年か」

を確認してください。

 

6.契約不適合責任の確認表

民法上の原則

契約内容に適合しない目的物が引き渡された場合、履行の追完、代金減額、損害賠償、解除などが問題になる場合があります。

種類・品質に関する不適合については、原則として買主が知った時から1年以内の通知が必要です。(法務省)

個別契約の特約

責任を負う期間、対象、免責事項などが定められている場合があります。

契約書本文だけでなく、特約欄まで確認します。

売主属性

個人売主なのか、宅地建物取引業者が自ら売主なのか、その他の事業者なのかを確認します。

売主属性によって適用される強行規定や消費者保護規定が異なる場合があります。

対象となる不適合

雨漏り、構造、設備などを「必ず対象」と一律に考えません。

何を契約内容として合意したのかを、売買契約書、告知書、付帯設備表などから確認します。

通知期限

いつを起算点として、いつまでに、誰へ通知するのかを確認します。

免責条項

「現状有姿」「契約不適合責任を負わない」などの記載がある場合、意味と法的効力を契約前に確認します。

 

7.付帯設備表は契約不適合責任と分けて読む

中古住宅では、

・給湯器
・エアコン
・照明
・食器洗浄機
・温水洗浄便座

などの設備が残される場合があります。

設備についても、

「家に付いているから全部保証される」

とは限りません。

売買契約書や付帯設備表で、

・設備として引き渡すのか
・故障の有無
・修理責任をどう定めているか
・保証対象外としている設備があるか

を確認します。

建物本体の契約不適合責任と付帯設備の扱いを同じものとして考えないことが重要です。

 

8.ホームインスペクション済みでも「責任不要」にはならない

中古住宅では、契約前に建物状況調査、いわゆるホームインスペクションを実施する場合があります。

国土交通省は、建物状況調査について、基礎、外壁、柱、屋根などの劣化事象や不具合事象を専門家が目視・計測等によって確認する制度と説明しています。

一方、国土交通省は明確に、

建物状況調査は瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものでもない

としています。(国土交通省)

したがって、

インスペクション済み=契約不適合が存在しない

ではありません。

調査結果、売主の告知、付帯設備表、重要事項説明書、売買契約書をそれぞれ確認します。

 

9.大村市の中古住宅でも築年数だけで免責を判断しない

大村市でも、築年数の異なる中古住宅が流通しています。

しかし、

「築30年だから契約不適合責任なし」

「築浅だから売主が何でも保証する」

といった地域・築年数による共通ルールはありません。

同じ築年数でも、

・過去の修繕
・増改築
・維持管理状況
・設備交換履歴
・雨漏り等の履歴
・建物状況調査の有無

などによって物件状態は異なります。

陸自不動産では、築年数だけで判断せず、物件状況報告書、付帯設備表、調査資料、契約特約を個別に確認することを重視します。

 

10.不具合を発見したら記録と通知を行う

引渡し後に契約不適合の可能性がある状態を発見した場合は、放置せず、

・発見日
・発見場所
・写真、動画
・発生している症状
・専門業者の調査内容
・売主や媒介会社へ連絡した日時

などを記録します。

民法第566条の通知期間が関係する場合があるため、

「そのうち連絡すればよい」

と考えるべきではありません。

ただし、通知すれば必ず売主責任が認められるという意味でもありません。

契約内容に適合しているか、特約がどう定められているか、売主属性、発生原因などを確認したうえで判断します。

 

11.「進む・立ち止まる・専門家確認」を分ける

契約へ進みやすい状態

・売主属性を確認している
・契約不適合責任の条項を読んでいる
・責任期間を確認している
・免責特約を確認している
・物件状況報告書を確認している
・付帯設備表を確認している
・不明点について説明を受けている

契約条件を理解した状態です。

一度立ち止まった方がよい状態

・「何かあれば売主が直す」と口頭でしか聞いていない
・契約不適合責任の条項を読んでいない
・通知期限を理解していない
・免責特約の意味が分からない
・告知書と契約書の内容が一致していない
・付帯設備の保証範囲が分からない
・インスペクション済みだから問題はないと説明されている

不明点が解消するまで契約を急がない方が安全です。

専門家へ個別確認した方がよい状態

・免責特約の有効性に疑問がある
・売主が知っていた不具合を告知していなかった可能性がある
・通知期間を過ぎている
・補修、減額、解除等を巡って争いがある
・契約不適合責任の適用自体を売主が否定している
・損害賠償請求を検討している

法的判断は弁護士、登記は司法書士、税務は税理士、建物状態は建築士等の専門家へ確認してください。

 

 

 

 

本章のまとめ

・契約不適合責任は、発見された不具合を何でも補償する制度ではありません。
・民法上の原則と、実際の売買契約書に記載された特約を分けて確認します。
・個人売主と宅地建物取引業者売主では、免責や期間に関する規制が異なります。
・「知ってから1年」は原則として民法第566条の通知期間であり、単純な保証期間とは異なります。
・告知書、付帯設備表、インスペクション結果まで確認し、不明点が残る場合は契約前に止まります。

買主向けチェックリスト

□ 売主が個人か宅地建物取引業者か確認しましたか?
□ 契約不適合責任の条項を読みましたか?
□ 責任期間・通知期限を確認しましたか?
□ 免責特約を確認しましたか?
□ 物件状況報告書・告知書を確認しましたか?
□ 付帯設備表を確認しましたか?
□ 売主が把握している不具合を確認しましたか?
□ インスペクションの調査範囲を確認しましたか?
□ 補修・代金減額・解除等の条件を理解していますか?
□ 不明な法的効果を専門家へ確認しましたか?

 

 

 

Q&A

Q.個人売主なら契約不適合責任を全部免責にできますか?

契約によって免責特約が設けられる場合がありますが、「個人売主なら何でも完全免責」とは言えません。民法第572条では、売主が知りながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れることができない旨が定められています。(法務省)

 

Q.不動産会社売主なら何年間責任を負いますか?

単純に「必ず2年間」とは言えません。宅地建物取引業法第40条では、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、民法第566条の期間について引渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な特約をすることを制限しています。実際の契約期間は売買契約書で確認してください。(キャッシュレス・消費者還元事業)

 

Q.雨漏りを後から発見したら必ず修理してもらえますか?

必ずとは言えません。雨漏りの状態、契約前の告知、契約内容、免責特約、通知時期、売主属性などによって判断が異なります。発見した場合は状況を記録し、速やかに売主・媒介会社へ連絡してください。

 

Q.ホームインスペクション済みなら契約不適合責任は不要ですか?

不要とは言えません。国土交通省は、建物状況調査について瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものでもないと明記しています。調査結果と契約条件は別々に確認してください。(国土交通省)

 

 

 

 

参考資料・公的機関

法務省「民法(債権関係)改正資料|契約不適合責任」

買主が契約不適合を知ってから1年以内に売主へ通知する民法第566条の考え方、履行追完・代金減額等の制度について確認しました。

確認日:2026年9月2日。(法務省)

法務省「売主の瑕疵担保責任に関する見直し」を確認

宅地建物取引業法第40条・消費者庁逐条解説

宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、契約不適合責任について買主に不利な特約を制限し、民法第566条の期間について引渡しから2年以上とする特約が認められていることを確認しました。

確認日:2026年9月2日。(キャッシュレス・消費者還元事業)

消費者庁「消費者契約法 逐条解説」を確認

国土交通省「建物状況調査(インスペクション)」

建物状況調査の対象、調査方法、調査の限界について確認しました。調査は瑕疵の有無を判定したり、瑕疵がないことを保証したりする制度ではありません。

確認日:2026年9月2日。(国土交通省)

国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用に向けて」を確認

 

大村市で中古住宅の購入を検討している方へ

株式会社陸自不動産では、大村市周辺の中古住宅、新築住宅、土地について、物件調査、購入申込み条件の整理、重要事項説明、売買契約に関する宅地建物取引業務、物件状況報告書・付帯設備表・契約特約の確認、売主側との条件調整、引渡し前確認などを行っています。

中古住宅の契約では、「築年数が古いから自己責任」「契約不適合責任があるから安心」と単純化せず、売主属性、建物状態、告知内容、特約、責任期間を個別に確認することを重視しています。

契約不適合責任の法的な適用、解除、損害賠償等は弁護士、建物状態の専門的判断は建築士等、登記は司法書士、税務は税理士など、専門分野ごとの確認が必要です。

 

 

著者紹介

小松野美貴哉

株式会社陸自不動産代表取締役。陸上自衛隊勤務36年を経て不動産業界へ転身し、住宅購入・売却、住宅ローン、相続、離婚、転勤など、不動産に関する問題へ実務家として対応しています。

関連書籍

『ハウスメーカーと不動産屋の決定的な違いとは?』

住宅会社と不動産会社の役割の違いを住宅購入者側から整理した一冊です。建物そのものの説明と、不動産売買契約として確認すべき土地・道路・権利・契約条件を分けて考える際の参考になります。

Amazonで『ハウスメーカーと不動産屋の決定的な違いとは?』を確認

『売主目線で考える不動産売却戦略』

不動産を売却する側が価格や販売条件をどのように考えるのかを整理した一冊です。買主が売買契約の責任範囲や売主側の条件を理解する際にも参考になります。

Amazonで『売主目線で考える不動産売却戦略』を確認

『公務員はなぜマンション投資で狙われるのか?』

不動産購入を営業担当者の説明だけで判断せず、価格、融資、契約条件、保有費用、将来の出口まで自分で確認する重要性を考えるための一冊です。

Amazonで『公務員はなぜマンション投資で狙われるのか?』を確認

 

 

 

 

免責事項

本記事は、一般的な不動産取引および住宅購入契約に関する情報提供を目的としています。

契約不適合責任の有無、対象範囲、通知期限、免責特約の有効性、履行追完、代金減額、契約解除、損害賠償等は、売主属性、契約条項、告知内容、物件状態、取引経過によって判断が異なります。

「個人売主」「宅地建物取引業者売主」「中古住宅」などの属性だけで、責任範囲や期間を一律に判断するものではありません。

個別案件については、宅地建物取引士、建築士等、司法書士、税理士、弁護士など、該当分野の専門家へご確認ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#大村市 #大村市不動産 #大村市住宅購入 #大村市で家を買う #住宅購入 #不動産購入 #購入申込み #売買契約 #重要事項説明 #不動産契約 #買主保護 #宅建 #陸自不動産 #契約不適合責任 #中古住宅契約 #特約 #免責特約 #契約不適合責任期間 #物件状況報告書 #付帯設備表 #ホームインスペクション #中古住宅購入