⑧ 「高く売れた」と「多く手元に残った」は同じ?|売却価格と手取り額の違い
大村市で家を売ったら手元にいくら残る?|仲介手数料・税金・住宅ローン・諸費用・手取り額を徹底解説

第8章|「高く売れた」と「多く手元に残った」は同じ?|売却価格と手取り額の違い
家を売るなら、少しでも高く売りたいと考えるのは自然なことです。しかし、高く売るために多額のリフォームや修繕を行ったり、建物を解体したり、長期間売り続けたりした場合、売却価格が上がっても手取り額まで必ず増えるとは限りません。大切なのは、成約価格だけを比較するのではなく、住宅ローン、仲介手数料、登記費用、測量・解体・残置物撤去費、税金などを差し引いた後の金額を確認することです。本章では、「高く売る」と「多く残す」を両立させるための考え方を解説します。
初めに結論
「高く売れた」と「多く手元に残った」は、同じ意味ではありません。
売却価格が高くても、住宅ローン返済額、仲介手数料、登記・契約関係費用、測量・解体・残置物撤去・修繕等の費用、税金などが大きければ、最終的な手取り額が想定より少なくなる場合があります。
一方、他の条件が同じであれば、売却価格が高いほど手取り額は増える方向へ働きます。高値売却を目指すこと自体は重要です。
不動産売却では、単に最高価格を目指すのではなく、売却価格を上げるために必要な費用と、費用を差し引いた後の手取り額をセットで比較することが重要です。
売却価格は重要な判断材料
売却価格は、不動産売却の結果を評価する重要な数字です。
2,800万円で売る場合と3,000万円で売る場合で、住宅ローン残高や売却諸費用などの条件が同じなら、原則として3,000万円で売った方が手取り額は増えます。
そのため、適切な査定価格、売出価格、広告方法、価格変更の時期、購入希望者との条件交渉などを検討し、できるだけ高く売るための販売戦略を立てる意味は十分にあります。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域ごとの取引価格や成約価格等を確認できます。ただし、個別の不動産価格は、所在地、土地面積、建物の状態、接道、周辺環境、売却時期などによって異なります。国土交通省「不動産情報ライブラリ」
重要なのは、想定売却価格だけではなく、想定価格を実現するために必要な費用や期間も同時に確認することです。
手取り額は売却後に残る資金を見る数字
売却価格とは、買主と合意した不動産の売買代金です。
手取り額とは、売却代金から住宅ローンや売却に必要となる費用などを差し引き、売主の手元に残る金額を考えるための数字です。
基本的な計算方法は次のとおりです。
売却代金
-住宅ローン返済額
-仲介手数料
-登記・契約関係費用
-測量・解体・残置物撤去・修繕等
-税金等
=最終的な手取り額の目安
たとえば、同じ3,000万円で売却しても、住宅ローンがない物件と、多額の住宅ローンが残っている物件では、売却後に使える資金が異なります。
築古住宅や古家付き土地では、境界確認、測量、解体、家財処分などが必要になる場合があります。売却価格が同じでも、物件ごとの追加費用によって手取り額は変わります。
なお、資金計算上の支出と、税務上の取得費・譲渡費用は必ずしも一致しません。税金の計算は、第6章をご確認のうえ、税理士または税務署へご相談ください。
売却価格が100万円高くても手取り額が少なくなる場合がある
売却価格と手取り額の違いを、仮定の例で比較してみます。
ケースA|2,900万円で現況のまま売却
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売却価格:2,900万円
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売却前の追加工事:行わない
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比較対象となる金額:2,900万円
ケースB|追加工事後に3,000万円で売却
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売却価格:3,000万円
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解体・修繕・残置物撤去等の追加費用:仮に120万円
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比較対象となる金額:2,880万円
ケースBは、ケースAより100万円高く売れています。しかし、売却価格を上げるために120万円を支出したため、追加費用を差し引いた比較では、ケースAの方が20万円多く残る計算になります。
上記は費用対効果を説明するための仮定であり、実際の工事費用や売却価格を示すものではありません。仲介手数料、住宅ローン、登記費用、税金などの共通費用も省略しています。
反対に、追加費用が50万円で売却価格が100万円上がるなら、手取り額が増える可能性があります。
したがって、「費用をかけるべきか」という質問には、工事費用だけでなく、工事後に見込める価格、販売期間、買主需要を比較して判断する必要があります。
リフォームして高く売るべきか
リフォームによって見た目や使い勝手が改善し、購入希望者の印象が良くなる可能性はあります。
一方、売主が選んだ設備や内装が、買主の希望と一致するとは限りません。支出したリフォーム費用と同額以上、売却価格が上がる保証もありません。
売却前のリフォームを検討する場合は、次の3案を比較します。
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現況のまま売却する場合
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必要最低限の修繕を行う場合
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リフォーム後に売却する場合
雨漏りや設備故障など、売却条件へ影響する不具合への対応と、印象を良くするための内装工事は、目的を分けて考えることが大切です。
建物の状態を把握したい場合は、建物状況調査を検討する方法もあります。国土交通省は、既存住宅の売買における建物状況調査の仕組みを案内しています。国土交通省「インスペクション(既存住宅の点検・調査)」
解体して土地として売るべきか
古い家が建っている土地では、「解体すれば高く売れるのではないか」と考える方も少なくありません。
解体によって土地の状態を確認しやすくなり、購入後すぐに建築計画を進めやすくなる可能性があります。一方、売主には解体費用が発生します。
また、建物が残っている状態を希望する買主や、建物の一部を利用したい買主がいる可能性もあります。解体後は建物へ戻せないため、売却前の判断が重要です。
解体を検討する場合は、次の内容を比較してください。
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古家付き土地として売る場合の想定価格
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解体後の更地として売る場合の想定価格
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解体費用
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残置物撤去費用
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建物滅失登記等の費用
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解体後の土地利用や税負担への影響
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解体によって想定される販売期間の変化
解体費用以上に売却価格が上昇するとは限りません。先に解体を決めず、現況売却と更地売却の両案を比較することが大切です。
測量や残置物撤去にも費用対効果がある
土地の境界が不明確な場合や、契約条件として確定測量が必要となる場合は、測量費用が発生する可能性があります。
測量は、単に売却価格を上げるためだけではなく、売却条件を明確にし、取引を進めるために必要となる場合があります。そのため、金額だけで必要性を判断できない費用です。
残置物撤去についても、室内を空にすることで内覧しやすくなる可能性がある一方、古い家具や家財を含めて購入したい買主が現れる場合もあります。
測量や残置物撤去は、必ず先に実施するのではなく、物件状況と販売方法を確認したうえで判断してください。
長期販売では売却までの支出も確認する
高値を目指して販売期間を長く取る場合は、売却完了までに発生する支出も確認する必要があります。
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住宅ローンの返済
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固定資産税等
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火災保険料
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空き家の電気・水道料金
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庭木の手入れや建物管理費
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遠方からの交通費
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賃貸住宅や新居との二重負担
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建物の劣化や追加修繕の可能性
希望価格で売れるまで待つことが有効な場合もありますが、販売期間中の支出が増えれば、最終的な手取り額へ影響します。
値下げして早期売却する場合と、価格を維持して販売を継続する場合について、価格差だけではなく保有中の支出や売却期限も比較する必要があります。
高く売る・早く売る・多く残すは別の評価軸
不動産売却には、主に3つの評価軸があります。
高く売る
時間をかけて購入希望者を探し、できるだけ高い成約価格を目指します。
早く売る
価格や条件を調整し、希望する期限までの売却を優先します。
多く手元に残す
売却価格だけでなく、工事費用、維持費、住宅ローン、税金などを差し引いた手取り額を重視します。
売主の目的によって、優先順位は変わります。
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住み替え期限が決まっている
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転勤までに売却したい
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相続物件の管理負担を減らしたい
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住宅ローンを早く完済したい
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時間がかかっても高値を目指したい
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工事費用を抑えて現況で売りたい
すべての売主に共通する一つの正解はありません。売却目的と資金計画を確認し、目的に合った販売戦略を選ぶことが重要です。
高値売却と手取り額はどちらが重要か
高値売却と手取り額は、どちらか一方だけを選ぶものではありません。
理想は、販売戦略によって売却価格を高めながら、効果の低い支出を抑え、最終的な手取り額を増やすことです。
既存の「大村市で家をできるだけ高く売るには?」シリーズでは、査定価格、売出価格、成約価格、販売戦略を解説しています。
本シリーズでは、さらに住宅ローン、仲介手数料、登記費用、追加費用、税金を加え、売却後に残る金額まで確認します。
高く売るための販売戦略+費用を抑える視点=最終手取りを考える売却計画
大村市で戸建住宅、土地、築古住宅を売却する場合も、査定価格の高さだけで不動産会社や販売方法を決めず、必要な費用と販売条件を含めて比較することが大切です。
「高く売る」と「多く残す」を比較するチェック項目
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想定売却価格
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現況売却の場合の想定価格
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必要最低限の修繕後に見込まれる価格
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リフォーム後に見込まれる価格
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古家付き土地として売る場合の価格
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解体後に見込まれる土地価格
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解体費用
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測量費用
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残置物撤去費用
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仲介手数料
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住宅ローン残高
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登記・契約関係費用
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税務上の確認事項
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販売期間中に発生する支出
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売却までに許容できる期間
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売却後に必要となる資金
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各販売案の最終手取り額
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売却で最も優先したい目的
最高価格となる案だけを選ぶのではなく、現況売却、修繕後売却、解体後売却など、複数案の手取り額を比較してください。
よくある質問
Q.家は高く売れれば売却成功ですか?
高く売ることは重要ですが、成約価格だけで成功を判断するとは限りません。住宅ローンや売却諸費用を差し引いた手取り額、売却期間、売却目的を含めて評価する必要があります。
Q.売却価格と手取り額は何が違いますか?
売却価格は買主と合意した売買代金です。手取り額は、売却価格から住宅ローン返済額、仲介手数料、登記費用、個別費用、税金などを差し引いた後に残る金額の目安です。
Q.リフォームして高く売った方が得ですか?
必ず得になるとは限りません。リフォーム費用以上に売却価格が上がる可能性があるか、現況売却より販売しやすくなるかを比較する必要があります。複数の販売案を検討してください。
Q.解体して土地として売った方が手取りは増えますか?
物件によって異なります。更地にすることで売りやすくなる可能性がある一方、解体費用が売却価格の上昇分を上回る場合もあります。古家付きと更地の両方で想定価格を比較することが大切です。
Q.仲介手数料も手取り額に影響しますか?
仲介手数料は売却時の支出となるため、手取り額へ影響します。具体的な金額は売買価格や媒介契約の内容によって変わります。詳しくは第2章をご確認ください。
Q.住宅ローンがある場合は高く売れても手取りが少ないことがありますか?
住宅ローン残高が多ければ、売却代金の多くをローン返済へ充てる場合があります。売却価格だけではなく、金融機関へ確認した完済予定額を用いて手取り額を計算してください。
Q.売却前に複数の手取り額を比較できますか?
概算であれば比較可能です。現況売却、修繕後売却、解体後売却などの想定価格と必要費用を整理します。ただし、成約価格や工事費用、税額を保証する計算ではありません。
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築古住宅・古家付き土地売却シリーズ
売却価格と手取り額をセットで比較します
株式会社陸自不動産では、「いくらで売れるか」という査定価格だけではなく、現況売却、修繕後売却、解体後売却などの販売方法を整理し、それぞれの方法で必要となる費用と手取り額の目安を比較します。
高値成約や最終手取り額を保証するものではありませんが、売主の希望、売却期限、住宅ローン、物件状態を確認し、目的に合った販売戦略をご提案します。
高く売りたい方も、費用を抑えて売りたい方も、売却するか決まっていない段階から状況整理をご相談いただけます。
免責事項
本記事は、一般的な不動産売却の方法や資金計画に関する情報を提供するものであり、個別物件の売却価格、工事費用、売却期間、税額、手取り額等を確定するものではありません。
修繕費、リフォーム費、解体費、測量費、残置物撤去費、維持管理費等は、物件の状態、施工内容、地域、契約条件によって異なります。費用をかけることで売却価格が上昇すること、早期成約すること、手取り額が増えることを保証するものではありません。
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参考情報
※制度情報は2026年8月26日時点で確認しています。
執筆者情報
株式会社陸自不動産
代表取締役 小松野美貴哉
宅地建物取引士・おうち売却の達人
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