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不動産取引の「抜き行為」とは?(仲介手数料を払わないとどうなるのか?)

スタッフブログ

不動産取引の「抜き行為」とは何か、その背景とリスクを解説します

 

不動産取引において、「抜き行為」とは仲介手数料を回避するために、仲介業者を介さずに取引を進めることを指します。

多くの人がこのような取引方法を選ぶ理由として、費用を抑えたいという思いがあるからです。

しかし、この選択がどのようなリスクを伴うのか、理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、仲介手数料を払いたくない理由、仲介手数料を払わない場合の影響、不動産売買の抜き行為の具体例とそれに伴うリスクについて詳しく解説します。

 

☝仲介手数料を払いたくない理由

 

1.費用負担の軽減

 

不動産取引における仲介手数料は、購入価格の約3%~5%程度が一般的です。

仲介手数料の上限は、宅建業法に厳しく定められています。

例えば、3000万円の物件を購入する場合、100万円以上の費用が仲介手数料として発生します。

これを負担したくないと考える人が多いのは理解できますが…

特に、初めての不動産購入や売却を行う人にとって、予算を考慮する際に大きな負担となる一因です。

 

また、不動産取引は一生に何度も経験することではないため、手続きに必要な費用をできるだけ抑えたいという思いが強まります。

もし仲介業者に依頼せずに自分で取引を行うことで、仲介手数料を削減できるなら、そのメリットは大きいと考えるかもしれません。

 

2.自己責任の意識

 

自らの意思で取引を完結させたいという自己責任の意識が働く点も重要です。

特に、ネットの普及により情報が容易に入手できる現代では、自分自身で物件情報を収集し、売買を進めることが可能です。

このため、仲介業者を通さずに直接行動する人が増えています。

 

自己の判断で重要事項を決定し、取引を円滑に進めることができるという自由な選択肢が得られることから、仲介手数料を払わずに取引を行うことにも一定の魅力があると言えるでしょう。

しかし、実際のところはどうでしょうか? この方法は必ずしも安全とは言えません。

 

☝仲介手数料を払わないとどうなるのか?

1. 取引の透明性が失われる

 

仲介業者を介さずに取引を行う場合、まず最初に注意しなければならないのは、取引の透明性が失われるリスクです。

仲介業者は買主と売主の間に立ち、お互いのニーズを調整し、必要な情報をタイムリーに提供します。

しかし、自分で取引を行う場合、全ての情報を正確に収集しなければなりません。

 

情報不足や誤解により、買主と売主の間にトラブルが発生する可能性が高まります。

特に、不動産の特性上、見えない問題(例えば、欠陥や周辺環境の問題など)がある場合は、仲介業者のチェックを受けることができなくなります。このため、取引後のトラブルや訴訟に発展するリスクが高まることとなります。

 

2.市場価値の把握が難しくなる

 

仲介業者を通さない場合、市場価値の把握が難しくなる点も忘れてはいけません。

仲介業者は常に市場の動向を把握しており、適正な価格設定を行います。素人が自己判断で物件の価値を判定する場合、実際の相場からかけ離れた価格で売買を行うリスクがあります。これは、特に売却を希望する場合にはデメリットとなります。

 

また、購入を希望する場合でも、適正価格を把握できないことで、価格が高すぎる物件を掴まされてしまうことも考えられます。仲介業者の存在が提供する情報フローや市場理解が、売買において大きなウェイトを占めることを忘れてはいけません。

 

3.契約の法的リスク

 

抜き行為を行うことで、契約時の法的リスクも増加します。

仲介業者は専門知識を有しており、契約書の作成や重要事項説明を適切に行いますが、自己判断で契約を進めると、ミスを引き起こす可能性があります。不明瞭な部分が多い契約書に署名することは、将来的なトラブルを引き起こす要因となるでしょう。

 

特に法律に詳しくない素人が契約書を作成する場合、契約内容をよく理解せずにサインをしてしまうことがあります。

これにより、後に不利益を被るリスクが高まります。

また、抜き行為を行った場合、仲介業者からのサポートを受けられないため、トラブル発生時の対処が一層難しくなります。

 

 

☝ 不動産売買の抜き行為とは?

1. 抜き行為の具体例

 

不動産の抜き行為は、具体的にはどのような形で行われるのでしょうか。例えば、オンラインで見つけた物件に興味を持った買主が、直接売主に連絡を取り、値段や条件を直接交渉することが挙げられます。この場合、仲介会社を通さずに双方が直接取引を行うため、手数料を支払う必要がありません。

 

また、物件情報を掲載しているウェブサイトやSNSを利用して、仲介業者を介さずに取引を進める事例も増えています。しかし、これらの取引方法はあくまで自己責任で行わなければならず、透明性や市場価値の把握、法的リスクが増大することを覚えておく必要があります。

 

では、物件の紹介から案内~売主(買主)側との調整等のサービスを利用しておきながら、いざ決済時に仲介手数料の支払いを拒んだ場合はどうでしょうか?

 

2.リスクと注意点

 

不動産売買の抜き行為を行う上でのリスクは多岐にわたります。

まず、取引の透明性が低下し、トラブルが発生する可能性が格段に高まります。

次に、市場価値の理解不足から、適切な判断ができないリスクがあります。

また、取引対象先が業者やメーカーであった場合、契約そのものがキャンセルされることもあります。

さらに、契約に関する知識が不十分な場合、法的リスクやトラブルの対応が難しくなります。

これにより、専門の仲介業者を利用することで考慮されていたリスクを無視することになります。

仲介業者を介さないことで生まれるリスクを十分に理解し、自身の選択が本当に適切なものだったのか、再考する必要があるでしょう。

何よりも、本人のモラルを疑われることになります。

 

👉まとめ

 

不動産取引における抜き行為は、一見すると経済的なメリットが大きく感じられるかもしれません。

しかしその一方で、情報不足や透明性の欠如、法的なリスクなど、様々なデメリットも発生します。

自己責任での取引が可能な現代の情報社会にあっても、専門的な知識や経験を有する仲介業者の存在は重要です。

 

不動産取引は高額な買い物ですので、慎重に行動することが求められます。

仲介業者のサポートを受けることで、リスクを軽減し、安心・安全な取引が可能になるでしょう。

また、不動産情報はサイト上に記載されていることがすべてではありません。

手軽に不動産情報にアクセスできるようになった昨今だからこそ「プロの目線」が不可欠だと私は思っています。

 

最後に、不動産取引を計画する際には、十分にリサーチし、必要な専門家の意見を参考にすることをお勧めします。

相互に信頼できる仲介業者と協力することで、理想的な取引を行うことができるでしょう。

 

 

 

株式会社陸自不動産代表 小松野美貴哉