⑧ 仲介手数料は何の費用?|買主が不動産会社へ確認したい業務範囲
表示価格では買えない住宅購入総額

仲介手数料は何の費用?|買主が不動産会社へ確認したい業務範囲
大村市で住宅を購入するとき、仲介手数料が100万円前後になるケースもあり、「物件をインターネットで自分で見つけたのに、なぜ高額な手数料を支払うのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。仲介手数料は、単なる物件紹介料として考えると価値が分かりにくい費用です。不動産会社が媒介契約に基づいて担当する業務には、物件調査、条件整理、売主側との交渉、重要事項説明、契約・決済の調整などがあります。一方、法令上必要な業務と各社独自の購入支援は同じではありません。本章では、仲介手数料の上限と実際の支援内容を分け、買主が費用に見合う業務を受けられるか確認する方法を整理します。
Q.仲介手数料は、何の業務に対して支払う費用ですか?
結論
仲介手数料は、単に物件を紹介した対価だけではありません。媒介契約のもとで行われる物件紹介、条件交渉、重要事項説明、売買契約、決済・引渡しなどの媒介業務に対する報酬です。買主は金額だけでなく、実際にどこまで支援を受けるのかを契約前に確認する必要があります。
仲介手数料は「物件を見せた代金」だけではない
住宅情報サイトを使えば、買主自身で物件を探せる時代です。
SUUMOやアットホームなどで希望物件を発見し、不動産会社へ問い合わせた場合、
「自分で見つけた住宅なのに、仲介手数料を支払う必要があるのか」
という疑問が生じるのは自然です。
国土交通省は、不動産購入における一般的な媒介業務として、
-
物件紹介
-
媒介契約
-
売買相手との交渉
-
重要事項等の説明
-
売買契約
-
決済・引渡し
などを示しています。
また、実際に宅地建物取引業者が受託する業務範囲は、不動産会社や媒介契約の内容によって異なる場合があるため、媒介契約前に担当者へ確認するよう案内しています。(国土交通省)
したがって、買主が確認するべきなのは、
「物件を紹介してくれたか」
だけではなく、
「購入から引渡しまで、何を担当するのか」
という業務全体です。
仲介手数料には法律上の上限がある
宅地建物取引業法第46条では、宅地建物取引業者が媒介・代理によって受け取れる報酬額について、国土交通大臣が上限を定める仕組みとなっています。
国土交通省の2026年9月1日時点の消費者向け案内では、通常の売買取引について、依頼者の一方から受け取れる仲介手数料の上限を次の割合で計算します。
| 物件価格の区分 | 税込での上限計算に用いる割合 |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
たとえば、国土交通省は**物件価格1,000万円(税別)**の場合、依頼者一方から受け取れる仲介手数料の上限を39万6,000円(税込)と例示しています。(国土交通省)
一般的な400万円超の物件では、同じ計算を速算すると、
(物件価格×3%+6万円)×1.1
という形になります。
ただし、売買代金に課税対象となる建物の消費税相当額が含まれる取引では、報酬計算の基礎となる物件価格の扱いに注意が必要です。また、800万円以下の「低廉な空家等」には別の特例があります。実際の仲介手数料は媒介契約時の説明で確認してください。(国土交通省)
法定上限は「必ず支払う金額」ではない
法律で定められているのは、宅地建物取引業者が受け取ることのできる上限額です。
上限額が、そのまま法律で定められた固定料金という意味ではありません。
国土交通省も、仲介手数料について、上限額の範囲内で媒介契約を締結する際にあらかじめ合意しておくことが重要と案内しています。(国土交通省)
したがって、
「法定仲介手数料ですから必ず上限額です」
という理解は適切ではありません。
買主は、
-
仲介手数料はいくらか
-
いつ支払うのか
-
どの媒介契約に基づくのか
-
どのような業務を受けるのか
を契約前に確認してください。
物件調査では何を確認してもらえるのか
買主側で特に重要なのが、対象不動産に関する確認です。
物件によって調査内容は異なりますが、候補として、
-
所有権等の権利関係
-
法令上の制限
-
道路・接道
-
上下水道等のインフラ
-
契約条件
-
売主から提供される物件情報
-
ハザード関係情報
などがあります。
宅地建物取引業者が関与する売買では、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明が行われます。
一方、
法令上必要な重要事項説明
と、
買主の希望に応じて追加的に行う比較調査や独自サービス
は分けて考える必要があります。
「仲介手数料を払うのだから、あらゆる調査を無制限に行ってもらえる」という意味でもありません。
担当者へ、
「今回の物件では、契約前にどこまで調査しますか?」
と具体的に確認してください。
価格交渉だけではなく「条件整理」も仲介業務になる
買主が仲介会社へ期待する業務として、価格交渉が注目されやすくなります。
しかし、不動産売買で調整する条件は価格だけではありません。
物件によって、
-
引渡し時期
-
手付金
-
住宅ローン特約
-
設備
-
補修
-
残置物
-
境界
-
その他の契約条件
などについて売主側との調整が必要になる場合があります。
仲介会社が買主の希望を整理し、売主側へ伝え、回答を受け取って契約条件へ反映する役割を担う場合があります。
ただし、
仲介会社が入れば値下げできる
希望条件が必ず通る
という意味ではありません。
最終的な売買条件は売主と買主の合意によって決まります。
重要事項説明は「独自サービス」ではない
仲介会社を比較する際に注意したいのが、法令上求められる業務と独自サービスの区別です。
たとえば、宅地建物取引業者が媒介する売買では、契約締結前の重要事項説明は宅地建物取引業法に基づく手続です。
「重要事項説明を行います」というだけで、その会社独自の特別サービスとは評価できません。
一方、
-
複数物件の詳細比較
-
周辺取引情報の整理
-
買主向け資金計画表
-
契約書類の事前確認支援
-
住宅ローン事前審査の手続支援
-
建物調査会社の手配支援
-
将来売却を想定した物件比較
などは、会社ごとに提供範囲が異なる可能性があります。
法令上必要な業務と、独自に提供される支援を分けて確認してください。
住宅ローン支援も「融資保証」ではない
不動産会社によっては、住宅ローンについて、
-
金融機関の紹介
-
必要書類の案内
-
事前審査手続の支援
-
金融機関との日程調整
などを行う場合があります。
ただし、融資審査を行い、借入可能額、金利、返済期間等を最終的に決定するのは金融機関です。
不動産会社が、
「必ず融資が通ります」
「希望額を借りられます」
と結果を保証することはできません。
仲介手数料を支払うことと、住宅ローン承認は別の問題です。
決済・引渡しまで何を調整するのか
売買契約が成立しても住宅購入は終了していません。
その後、
-
住宅ローン手続
-
司法書士との連絡
-
売主との引渡し調整
-
残代金決済
-
登記関係
-
鍵の引渡し
-
固定資産税等の精算
などが進みます。
国土交通省の購入者向け資料でも、一般的な媒介業務に「決済、引渡し」が含まれています。(国土交通省)
買主は契約前に、
「契約後から引渡しまで、担当者はどこまで対応しますか?」
と確認しておくと業務範囲が分かりやすくなります。
仲介手数料無料なら同じ支援を受けられるのか
「仲介手数料無料」と表示された不動産会社もあります。
無料だから問題があるという意味ではありません。
取引によっては、
-
売主側から媒介報酬を受ける
-
買主側の仲介手数料を割り引く
-
買主からは報酬を受け取らない営業方針を採用する
など、報酬構造が異なる場合があります。
同じ宅地建物取引業者が売主・買主双方から媒介依頼を受け、それぞれから上限内で報酬を受け取る取引も制度上あり得ます。国土交通省の解釈・運用資料でも、依頼者双方から報酬を受ける場合、それぞれ一方から受け取る額が上限以内でなければならないとされています。(国土交通省)
したがって、
無料=支援が少ない
とも、
満額=支援が充実している
とも断定できません。
確認すべきなのは、
誰から報酬を受け、買主へ何を提供する取引なのか
という具体的な仕組みです。
800万円以下の物件には仲介手数料の特例がある
2024年7月1日以降、物件価格800万円以下の宅地・建物である「低廉な空家等」の売買媒介については、通常の上限とは異なる特例があります。
国土交通省によると、依頼者一方、つまり売主または買主から受け取れる仲介手数料について、媒介業務に要する費用を考慮し、税込33万円以内まで受領できる場合があります。
特例を利用する場合も、媒介契約時にあらかじめ上限範囲内で報酬額を合意しておくことが重要とされています。(国土交通省)
大村市周辺で低価格の土地、古家付き土地、中古住宅を購入する場合には、通常の速算式だけで仲介手数料を計算せず、対象物件に特例が適用されるか確認してください。
買主が契約前に質問したい5項目
仲介手数料を確認するときは、金額だけで終わらせず、次の5項目を質問してください。
Q.今回、買主側ではどこまで担当しますか?
物件紹介から決済・引渡しまで、具体的な業務範囲を確認します。
Q.物件について何を調査しますか?
権利、法令、道路、上下水道、契約条件など、対象物件で確認する項目を聞きます。
Q.価格以外にどのような条件を交渉できますか?
引渡し、設備、補修など、買主の希望を整理できるか確認します。
Q.重要事項説明書や売買契約書を事前に確認できますか?
契約当日だけではなく、可能な範囲で事前確認できるかを聞きます。
Q.契約後から決済・引渡しまで何を支援しますか?
金融機関、司法書士、売主側との調整範囲を確認します。
仲介手数料と支援内容を同じ表で比較する
複数の不動産会社から同じ物件を購入できる場合は、仲介手数料だけで比較せず業務範囲を並べます。
| 比較項目 | A社 | B社 | 確認状態 |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 金額確認 | 金額確認 | 確定/未確認 |
| 物件調査 | 対応範囲確認 | 対応範囲確認 | 確定/未確認 |
| 条件整理 | 対応範囲確認 | 対応範囲確認 | 確定/未確認 |
| 価格・条件交渉 | 対応確認 | 対応確認 | 確定/未確認 |
| 重要事項説明 | 法定業務を確認 | 法定業務を確認 | 確定 |
| 契約前書類確認 | 対応確認 | 対応確認 | 確定/未確認 |
| 決済・引渡し | 対応確認 | 対応確認 | 確定/未確認 |
| 独自購入支援 | 内容確認 | 内容確認 | 確定/未確認 |
重要なのは、
料金の安さと業務の多さを単純に競わせることではありません。
自分の住宅購入で必要な支援が受けられるかを確認します。
大村市で不動産会社へ確認したい内容
大村市で新築建売、中古住宅、土地を購入する場合も、物件種別によって必要な支援は変わります。
たとえば、
-
車を複数台駐車できるか
-
道路・接道条件はどうか
-
上下水道はどうなっているか
-
中古住宅の状態はどうか
-
土地購入後に建築上の確認が必要か
-
購入総額はいくらになるか
など、生活条件と不動産条件を一緒に整理する必要があります。
不動産会社がすべての専門判断を担当する必要はありません。
重要なのは、担当範囲を明確にし、建築士、金融機関、司法書士、税理士、弁護士などの確認が必要な項目を適切に分けられることです。
購入を検討しやすい条件
-
仲介手数料の金額を契約前に確認した
-
不動産会社の担当範囲が明確
-
物件調査の内容を確認できる
-
条件交渉の範囲を理解している
-
契約前に必要書類を確認できる
-
決済・引渡しまでの支援範囲が明確
-
法定業務と独自サービスを区別できる
-
仲介手数料を含む完成総額が家計上限内
一度立ち止まる条件
-
仲介手数料の金額が契約前に分からない
-
「法定料金だから満額」とだけ説明される
-
何の業務に対する報酬なのか説明がない
-
物件調査の範囲が不明
-
契約前に書類を確認できない
-
「仲介手数料無料だから絶対得」と費用だけで判断している
-
仲介手数料を含めると購入予算を超える
-
未確認費用を0円として資金計画を作っている
個別確認が必要な条件
宅地建物取引業法や媒介業務は宅地建物取引士・行政窓口、登記は司法書士、税務は税理士・税務署、住宅ローン審査や融資条件は金融機関、建築・建物調査は建築士等、契約上の法的紛争は弁護士へ確認してください。
本章のまとめ
-
仲介手数料は単なる物件紹介料ではなく、媒介契約に基づく一連の媒介業務に対する報酬です。
-
法律で定められているのは報酬額の上限であり、上限額が固定料金という意味ではありません。
-
法定業務と不動産会社独自の購入支援を分けて確認します。
-
仲介手数料無料・有料だけで会社の良否を判断せず、報酬構造と支援内容を確認します。
-
仲介手数料を含めた住宅購入完成総額が家計上限内か確認します。
買主向けチェックリスト
-
□ 仲介手数料の金額を確認した
-
□ 媒介契約の内容を確認した
-
□ 不動産会社の担当範囲を確認した
-
□ 物件調査の項目を確認した
-
□ 価格・条件交渉の範囲を確認した
-
□ 契約書類を事前確認できるか聞いた
-
□ 決済・引渡しまでの支援内容を確認した
-
□ 法定業務と独自サービスを区別した
-
□ 仲介手数料無料の場合は報酬構造を確認した
-
□ 仲介手数料を完成総額へ反映した
Q&A
Q.仲介手数料は必ず上限額を支払うのですか?
必ず上限額を支払う制度ではありません。国土交通省が定めているのは宅地建物取引業者が受け取ることのできる上限です。実際の金額は上限の範囲内で、媒介契約時にあらかじめ確認・合意してください。(国土交通省)
Q.売主直売なら仲介手数料は発生しませんか?
売主から直接購入し、買主との間に媒介を行う宅地建物取引業者が存在しない取引であれば、媒介に対する仲介手数料は通常発生しません。ただし、広告を掲載している会社が売主なのか媒介会社なのか、取引態様を必ず確認してください。
Q.仲介手数料無料の会社は何で利益を得ますか?
取引構造によって異なります。同一会社が売主側から媒介報酬を受け取る取引や、買主側報酬を割り引く営業方針などが考えられます。「無料」の理由は担当会社へ直接確認してください。無料だから支援が不足する、有料だから充実するとは一律に判断できません。
Q.仲介手数料を支払えば物件の安全性は保証されますか?
保証されません。仲介手数料は媒介業務に対する報酬であり、建物に将来不具合が発生しないことや、価格交渉、住宅ローン、将来価格などを保証する費用ではありません。建物状態について専門調査が必要なら、建築士等による確認を検討してください。
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確認日:2026年9月1日
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著者紹介
小松野美貴哉
株式会社陸自不動産 代表取締役
小松野美貴哉は、陸上自衛隊勤務36年を経て不動産業界へ転身し、住宅購入・売却・住宅ローン・相続・離婚・転勤などの不動産問題に実務家として対応しています。
住宅購入では、仲介手数料の有無だけで不動産会社を評価せず、買主が受ける調査・説明・条件整理・契約支援の内容と購入総額を確認した上で判断することを重視しています。
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